シャルル・ペロー 69歳の作品(1697) 「Cinderella or the little glass slipper」のかけた魔法

シャルル・ペロー 69歳の作品(1697) 「Cinderella or the little glass slipper」のかけた魔法

一度、聞いてしまうと、もうアンインストールできない、不思議な力を持つ「シンデレラ物語」。

1836年、バルザックが「誤訳説」を流すなど、ちょっかいを出されることも多い物語。その世紀末の1893年、Marian Roalfe Cox女史とAndrew Lang氏は、345のシンデレラに類する物語を収集した研究成果をまとめた本「Cinderella:Three Handred And Forty-Five Variants of Cinderella, Catskin And Cap O’Rushes」を出版しました。

19世紀末には「シンデレラ物語」は、国境のない、ユニバーサルな社会的な現象として、学術的な研究対象になっていたのです。コックス女史の研究から間もなくのこと、日本の南方熊楠はアジアにあったシンデレラの類型の昔話を発掘し、「西暦九世紀の支那書に乗せたるシンダレラ物語」発表します(1911)。 中国の「葉限」です。

シンデレラがこれほどまでに世界中で愛される存在になったのは、「シンデレラ物語」と似た類型の昔話が、世界各地で700以上も採集されているほど、わたしたちの心の奥深くにあるものに触れるから。

その根底に「神話」とつながるものがあるからです。「こころのDNA」に近い物語だったからです。この日本でも、「米福粟福」がシンデレラ異文として知られています。そうした昔話に流れる「神話」の精神が、シンデレラ物語のDNAになっています。シンデレラ物語は、あなたの街の物語なのです。

しかし、無数にある昔話のなかで、「シンデレラ物語」は、どうしてこれほど世界中で愛され続けるのでしょう?

私たちには、幸運にも17世紀、シャルル・ペローがいました。たとえば昔話「桃太郎」は、今も「昔話」として聞きます。

しかし「シンデレラ」は、どうでしょう。自分を登場させませんか?シャルル・ペローは、「シンデレラ」を、“現実の社会”と“昔話のDNA”とが巧みにオーバーラップする物語へと再構成し、「シンデレラそして、小さなガラスの靴」を仕上げたのです。

誰しも「シンデレラ」を「昔話」として聞くのではなく、「自分」を投影して聞くようになり、アンインストールできなくなるのです。こうして「シンデレラ物語」は、世界中の人々を世代を超えて魅了していく「現代の神話」になったのだと、コンフォートクックは考えています。

2011年1月23日

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